インタビュー 地域学習塾 自立学習型

学習塾ユニバースクール「授業だけでは成績は上がらない。授業は映像に任せ、職員は学習マネジメントに注力。」

この度、電子黒板やiPadなど、教育ICTを積極的に活用されている、学習塾ユニバースクールのお二人にお話を伺いました。YouTubeチャンネルやラジオ(ポッドキャスト)も運営されているなど、積極的に情報発信されている同塾の湯浅さん、田中さん(以下、敬称略)から、ICT活用に至った背景や、具体的な活用方法、今後実現していきたい未来について、お話しいただきます。

「Teacher」ではなく、「サポーター」であること

−−−本日はよろしくお願いします。早速ですが、学習塾ユニバースクールを創業したきっかけや背景を教えていただけますでしょうか。

湯浅:元々、大手の集団指導塾で講師をしていました。そこではホワイトボードを使った昔ながらの指導をしていたのですが、ICTを活用して、より良い環境で生徒に指導できるのではないかと考えたことが、創業のきっかけです。もっとこうした方が良いというのが積み重なって、じゃあ自分でやってしまおうということで創業しました。

−−−なるほど、具体的にはどのようなことをお考えでしたか?

湯浅:ホワイトボードの前に立って行なう指導形式だと、どうしても授業がメインになってしまいます。私は、授業だけでは成績は伸びないと考えていて、例えば、一人ひとりに合った学習方法や自習時間の活用方法を生徒にちゃんと伝えてあげるような、授業時間以外のマネジメントがより重要です。電子黒板やiPadを使って授業準備の効率を上げることで、そのための時間を確保できると考えていました。

−−−確かに貴校では電子黒板やiPadをかなり活用されていますよね。貴塾のコンセプトや大切にしていることを教えていただけますでしょうか。

湯浅:「頑張る生徒を全力で応援しよう」というコンセプトでやっています。つまり、私たちはTeacherというよりも生徒の力を信じて応援してあげるサポーターであるというスタンスです。勉強を通じて沢山の成功体験を積むことで、自信を持って毎日の生活を送ってほしいと考えています。そのため、現状の成績は関係なく、とにかく頑張る気がある生徒に来て欲しいと思っていて、生徒を募集するときもそのことを生徒に伝えています。

−−−頑張る生徒を支えるコーチのようなイメージでしょうか?

湯浅:最近は、特にその役割が大きくなっています。中学生も高校生も、勉強の優先順位はどうしても下がりがちなので、モチベーションが続きません。そこを私たちから働きかけて維持するようにしています。励ますことで本人も頑張るようになり、結果としてテストの点数が上がるととても喜びます。このサイクルがモチベーションを高める良いスパイラルになっていると思います。

−−−どのような生徒が多いですか?

湯浅:学力の面では中間層が多いです。勉強が全くできないわけではなく、すごくできるわけでもない、本当に中間くらいの生徒です。そういう生徒は、ファーストステップとして塾にくる習慣や勉強する習慣を作ってあげると、みんなめちゃくちゃ伸びます。どこまで伸びるかは個人差がありますが、伸びない生徒はいないですね。塾に慣れると毎日来る生徒も出てきます。自宅の勉強部屋を拡張したような感覚の生徒も多いですね。家だと誘惑が多いですから。笑

マネジメントと面倒見を徹底したトータルサポート塾へ

−−−生徒さんが塾に馴染んでいるのですね。一般的な集団指導塾や個別指導塾との違いはどのあたりだとお考えでしょうか。

湯浅:マネジメントと面倒見を徹底している点です。集団指導だと授業して終わりということも多く、以前の塾では授業を受けてそのまま帰ってしまう生徒もいましたが、私たちはそれをやらないようにしています。「個別指導のような集団指導」を目指していて、例えば、生徒一人ひとりの個別カリキュラム作成や宿題チェックもやりますし、テストの結果が悪ければ補習をするなど、徹底してサポートを行っています。

集団指導、映像授業、自習管理、宿題管理、質問対応など、塾内に様々な要素があって、そのトータルパッケージとしてサービスを提供しています。面倒見という点では個別指導が挙げられますが、個別指導は料金体系が時間に比例する形になってしまい、例えば、毎日来たい生徒は授業料が高額になってしまいます。そのため、私たちは集団授業と映像授業を軸としつつ、トータルにサポートすることで、勉強習慣を作ってあげるようにしています。

−−−トータルサポートを提供する塾は、今後増えていくのでしょうか?

湯浅:これから増えるんじゃないかなと思います。繰り返しになりますが、ちゃんと教えている先生ほど、ただ教えても成績が上がらないことを知っていて、授業時間外の勉強の重要性をよくご存知だと思います。最近、大学受験専門塾でもトータルサポートを売りにする塾が出てきてますし、いずれ中学生向けの塾にもこの流れがくると思います。

−−−背景として映像授業などのツールが整ってきたこともあるのでしょうか?

湯浅:そうですね。映像授業があることで必ずしも私たちが授業しなくてもすむようになりましたので、モチベーションを維持させるコーチングに先生の役割が自然と移行してきています。

もっと言えば、本当は私たちの空いた時間で、生徒たちが将来の夢やキャリアのことを考えるきっかけ作りに使いたいのです。中学生にアンケートをとると8割くらいの生徒は将来の夢がないんですよね。悲しいですよね。これだけ沢山ツールやアイテムがそろっている時代なので、私たちが想像もできないような夢をバンバン言って欲しい。そういうキャリア教育も塾として行なっていきたいと思っています。

−−−今回Studyplus for Schoolを導入したきっかけや背景を教えてください。

湯浅:導入をしようと考えたきっかけは実は「パーソナルトレーニング・ジム」なんです。高等部を運営するうえで、映像授業や質問対応の仕組みは準備ができていました。あとは何が足りないんだろうと考えたときに、毎日のようにアドバイスできる環境だと考えたのです。そのヒントになったのが、「パーソナルトレーニング・ジム」です。「パーソナルトレーニング・ジム」がなんであんなに結果にコミットできるのかを考えると、日々のマネジメントが徹底しているからだと思うんですよね。そんな塾を私たちもやりたいと考えて、ツールを探すなかで一番目的に合っていたのがStudyplus for Schoolでした。最初は無料アプリで生徒に使ってもらうものだと思っていたのですが、塾予備校向けのサービスがあることを知り、問い合わせしました。

−−−どのあたりが導入の決め手になりましたでしょうか?

田中:まず生徒側がスマホから入力できることが大きかったです。あとは、記録を付けていくとグラフが綺麗に表示されるので、ゲーム感覚でできそうなところも決め手になりました。生徒が使いにくいと継続しませんので。スマホ持っていない高校生はほとんどいないですし、最近の生徒はスマホアプリを本当に簡単に扱うので、記録するインターフェイスがアプリという点が良いですよね。

−−−導入前に貴校で抱えていた課題はありますでしょうか?

湯浅:Studyplus for School導入前は、保護者の方から、「ただ映像授業を見せているだけなのでは?」という見られ方をしてしまい、それが原因で退会者も出ました。授業内容を形に残すために、紙のカレンダーを作って管理を試したこともあったのですが、本当に大変で…。結局チェックも中途半端になってしまいました。Studyplus for Schoolを導入したことで、学習記録データも残りますし、毎日管理していることを、保護者の方にもご納得いただけるようになったと感じます。

「これだけやったよ、すごいでしょ」と報告してくれるように

−−−生徒とのコミュニケーションに変化はありましたか?

田中:生徒と会話するネタが増えましたね。来塾した生徒とは積極的にコミュニケーションを取ることを意識していますが、塾に来ない日ももちろんあります。以前は、生徒が「しっかり勉強してる」と言ったとしても、実態は分かりませんでしたが、今では生徒がちゃんと記録してくれるので、勉強内容が分かりますし、それに対してメッセージを送って励ますこともできます。塾でのコミュニケーションもただ「最近どう?」と聞くのではなく、どれだけやってきているかも全部把握しているので、「昨日これだけやってきたんだね!」とか、逆に「昨日全くやってないじゃん!」など各生徒の状況に合わせた声がけができるようになりました。

湯浅:逆に生徒から「これだけやったよ、すごいでしょ」と報告してくれるようにもなりました。スマホの画面を見せられるので、私たちに言いやすいのだと思います。

あとは、ほぼLINE感覚でやり取りができるので、私たちもすぐ本人と連絡が取れるようになりましたね。高校生はスマホに送るとすごく返信が早いんですよ。昔は電話とか、保護者の方を通してという形だったのが、すぐに直接連絡を取り合えます。返信してくれる生徒もいれば、確認するだけの生徒もいますが、彼らはちゃんと見てますから。

−−−生徒の反応はいかがですか?

湯浅:反応はすごく良いです。導入して2ヶ月経ちますが、全員続いています。止まった生徒は一人もいないです。くせになってきて、記録付けなければ気持ち悪いみたいです。グラフが0になっていると罪悪感があるみたいで、「昨日記録を付け忘れたのですが、どうしたら良いですか?」と言ってくるようになりました。笑

−−−ネガティブな意見はなかったのですか?

湯浅:面倒くさいとか、何か出てくると思っていたのですが、特になかったです。一番気にしていたのは、途中で飽きられてしまうことだったのですが、田中が毎日メッセージを送っていることが継続に繋がっていると思います。

正直に言うと、卒業生でStudyplusを個人で利用していた生徒がいたのですが、途中で辞めてしまいました。最初は楽しんでいたのですが、途中から面倒臭くなってしまったみたいで。ただ、私たちはStudyplus for Schoolのメリットを活かして、ちゃんと見てるよということを伝えるようにしています。やはり人から見られているというのは大きいと思います。だからちゃんと記録を付けるようになります。習慣化してくると毎日メッセージを送らなくても、記録することが自然になってきます。

−−−保護者の方からの反発はなかったですか?

湯浅:今のところ、特に不満を言われたことはありません。管理してくれているという印象をお持ちいただいていると思います。管理画面の学習記録のデータを保護者の方に見せられるので、説得力がかなり増しますよね。今月はこれくらいやってますということを伝えられます。高校生だと保護者の方はノータッチなのかなと思いきや、少子化の影響からか、お子さんの様子を見たいという方が最近は多いです。「うちの子最近どうですか?」という電話が高校生の親御様からもありますので、Studyplus for Schoolのデータがあると安心材料になります。

−−−スタッフからの反発はなかったですか?

湯浅:まったくなかったです。

田中:スタッフ全員で合意して決めましたので。

面談の準備時間が短縮され、数と質がともに向上

−−−1日の業務の流れを含めて、具体的な利用方法を教えてください。

田中:まず昼過ぎに出勤して、各生徒の学習記録データを見ながら生徒一人ひとりにメッセージを送っています。作業時間としてだいたい30分程度です。夕方からは授業を担当します。授業が終わったら雑務を片付け帰宅して、翌日昼にまた管理画面を見てメッセージを送るというのがルーティンになっています。空いた時間は生徒との個別面談に充てていて、以前は定期テストごとに行っていた面談が、今では高1は月1回、高2は2週間に1回できるようになりました。面談時は管理画面を直接本人に見せながら、頑張りを承認してあげたり、逆にできなかった原因を一緒に考えたり、教科配分のチェックをしています。

−−−新たに空き時間ができたということでしょうか?

田中:面談準備の時間はかなり省略されました。以前は生徒一人ひとりファイルを作り、面談前に担当生徒のファイルを確認し、面談の冒頭で紙のアンケートを渡して生徒に記入してもらい、その場で記入内容を見ながら面談するというプロセスだったのですが、その時間が省略されました。感覚的には半分程度になった印象です。

また面談のネタが増えたので、面談をしやすくなり面談自体の時間も短縮されたと思います。以前は想像や主観で話してしまっていたことも多かったのですが、現在はデータに基いて話ができるので生徒への説得力も増した印象です。

−−−使い勝手はいかがですか?

田中:とても楽ですね。毎日もしくは2日に1回の頻度でコミュニケーションしなければ生徒のモチベーションが続かないと思うのですが、これから人数が増えたときに、どうしても一人あたりに掛ける時間を減らさなければなりません。ただ、この形ならハイペースでコミュニケーションが取れて良いと思います。

−−−マネジメントに関して、他に実現していきたいことはありますか?

湯浅:そうですね。現状、来塾時間の管理は紙ベースなので、それもStudyplus for Schoolで管理・把握できると嬉しいです。Google Calendarのように塾の予定を生徒側からも入力できると良いですね。現状その部分はアナログで、生徒一人ひとりに紙を配って管理しているので、その部分をStudyplusがやってくれると…。最終的には入室から退室までのすべてをStudyplusで管理したいです。笑

田中:カレンダー形式だと、生徒もプライベートの予定を入れてくれると思います。高校生は意外と学校行事などがあって忙しいので、生徒が入力してくれて講師側もそれが把握できるようだとかなり良いです。プライベートの予定を入れて、残りの時間を勉強に充てるような、本人の時間管理にも役立つと思います。

「楽しんで稼げるような大人」を学習塾から輩出したい

−−−貴校として、今後の展望を教えてください。

田中:例えば、地方で勉強したいと思っても環境的にできない生徒に対して、ICTを活用することでサービスを提供していきたいと考えています。場所による制約がなくなれば、あとは本人の気持ち次第なので、やる気がある生徒のモチベーションを維持してあげられるように私たちが介在していきたいと考えています。

湯浅:ICTを活用して学習効率を高めることができれば、勉強時間を短縮することができます。その空いた時間をキャリア教育にあてて、「楽しんで稼げるような大人」を塾が作れたら最高だなあと考えています。それが私の本当の夢ですね。塾というカテゴリーとは関係なく、そういう場所を提供したいと思っています。その意味でICTの導入は今後も積極的に取り組んで行きたいと考えています。

−−−キャリア教育に関して、具体的に考えていることはありますか?

湯浅:私たちだけでは不十分で、もっと沢山の大人と接点を持ってほしいと思っています。構造上、中高生はどうしても接することができる大人が少なすぎると思います。親と学校の先生、スポーツの監督くらいでしょうか。多様なキャリアを知ることが彼らにとって刺激になると思いますし、将来のことを考えるきっかけになると思います。私たちの責任でもあるのですが、どうしても目先の高校受験や大学受験に目が行きがちなので、もっと先をみて行動できるような考え方を醸成していきたい。実は、来年度からすべての中高生に必須科目としてキャリア教育の授業を加えることをほぼ決めています。キャリア教育についても外部ツールを活用しながら、1年単位のカリキュラムを作成する予定です。

−−−もはや、塾という枠組みを超えていますね。

湯浅:本来は学校がやるものだと思いますが、塾がやってもいいのかなと思っています。ただ勉強を教えてもらうだけでなく、もう少し役割を拡張していきたい。そのために今できることとして、私たちがお願いできる知り合いに積極的にお声がけして、講演会を開いています。この業界の方々はそういうのに熱い方が多いので、それを生徒に伝える場をこれからも作りたいと考えています。


学習塾ユニバースクール

http://univer-school.com/