イベントレポート 地域学習塾 自立学習型

Studyplusを活用し、“田舎だから”をプラスに変える石川県能登町町営塾「まちなか鳳雛塾」 「能登町、KASOってます。課題まみれだからこそ、学びのフロンティアへ。」

石川県能登町公営のまちなか鳳雛塾。この30年で子供の数が4分の1に減ってしまった能登町で、「地方における人づくり」をどのように行なっているのか、その中でStudyplusをどのように活用しているのかをお話しいただきました。

「能登町、KASOってます」

今回は“地方における人づくり”の現状と、抱えている課題を前半部分で、後半では我々が取り組みをしている中での課題と、その解決としてStudyplusをどう使っているのかを説明していきたいと思っております。

まず、めちゃくちゃKASOってます。

今年の春に東京にくる機会があって、業者の方に「すごく過疎っていますね」と言われまして…ちょっと“神ってる”と近くてかっこいいなあと思って自虐にもなるんですけれど(笑)。

人口が半分になっているので確かに過疎っているなと思われると思うんですけれども、これはおじいちゃんもおばあちゃんも赤ちゃんも全部入った年代の合計なんですよね。これをもう少し若い世代、特に二十歳未満の合計にフォーカスすると、このグラフのようになります。私や廣瀬社長が生まれたあたりと比べて子どもの数は1/4以下になっています。

 

町から高校生が出て行ってしまう・・・。常に定員割れだった能登高校

当然ですが、過疎の先には統廃合があります。農業系を中心とした学校、それから、水産高校が統廃合されて現在の能登高校ができました。水産高校は、明治31年に創られた、存続していれば来年で創立120周年の伝統を持っている学校でしたが、残念ながらこちらが一つに統合されました。

農業だけを勉強する学校、水産だけを勉強する学校というのはあると思うんですけれども、能登高校は統廃合で生まれた高校だからこそ、一次産業である農業・水産業を横断型で勉強して、その中から自分の進路を決定していくことが可能である、全国でも非常に稀有な存在になっていると思います。

また、能登半島の里山里海は、2011年に先進国で初めて世界農業遺産に認定されました。日本が失ってしまったJAPANがここにあることを世界が認めたのだと、我々は思っております。

ですので、里山里海の人間がどのように自然と共に生きていくのか、その中でどのように知恵を育んでいくのか、そういったものを学びとして体験できる学校が能登高校であります。

だからこそ、我々はこのプロジェクトを、とある町で子供が減って来たから、学校が一つ統廃合で消えますね、という簡単な問題だとは捉えていません。能登高校がなくなってしまうということは、日本人としての学びを体得する場が、世界が認めた能登から失われてしまうということです。すなわち、一度手放してしまうと二度と戻らない、歴史や、文化を学び、繋ぎ、発信する人材育成システムがなくなってしまうということなのです。

そのため、高校存続に向けて動き始め、まず強い部活を作って知名度をあげようというのを頑張りました。しかし、確かに全国常連の強い部活もありますが、それで新入生獲得につながったかというとそういうわけではありませんでした。私たちは改めて考えました。

 

“公営塾”という打開策

なぜ、隣町の高校は定員を満たしているのに能登高校には人が来ないのか。

これは田舎あるあるだと思うんですが、”とにかく国立大学に行って、町の職員もしくは学校の先生になれれば勝ち”という固定概念が今でも深く染み込んでいます。

本来広い学びを提供でき、幅広い勉強の窓口があるというのが能登高校のストロングポイントであるはずだけれども、地元の方々は目先3年後の進路をどのように叶えてくれるのか、というのを基準に進学先を考えていたんだなあと気がつきました。そこで、進学面の強化を進めていくことにしたのです。

そこで今から4年前に、その当時石川県内で初めての公立高校内の公営塾、というものを設置いたしました。塾を作るよという宣言をしましたら、生徒数はいい感じに増え、お膝下の中学校から5割強の生徒が能登高校に進学してくれました。ひどい時には、進学者のうち30%程度しか地元の高校に行かないという状況だったにもかかわらずです。

しかし、平成28年にまた元に戻ってしまうんですね。

模試などの成績は前に比べて良くなってきたし、喧嘩偏差値なら全国No. 1くらいなんじゃないかという荒くれ者たちが集まった時代からすると学校の雰囲気もすごく良くなってきた。それなのになぜ、生徒募集への波及効果はかなり限定されてきてしまっているのか。

何故だろうと考えました。答えは簡単で、高校内の塾は、すでに能登高校を選んだ生徒の満足度はあげていたのですが、どの高校にするかを選択する層に直接アプローチする取り組みではなかったのです。

そこで、地元の中学生とお母さんたちに能登高校を選ぶメリットを感じていただくために二つのことを行いました。

一つは、本来では命令系統が全然違うために連携が難しい中学校と高校の連携(中学校の管轄は町の教育委員会、高校の管轄は県の教育委員会)を、我々塾が間に入ることによって実現しました。テキストを揃え、デキる子には中学の時点でもう高校の勉強を始めてもらうということをスタートしています。

二つ目は、今まで学校の中にあった塾をさらに発展的に、町の中に出してしまえばいいんじゃないかということで、町の中にも公営塾を作るという提言を町長さんにしまして、昨年の夏に実現しました。

結果、一旦下がっていた生徒数は、能登高校お膝元の中学からの進学率が6割を超え、街全体としても5割に近いラインになり、学校はじまって以来の高い数字を出すことができました。だだ下がりだった全校生徒数も、隣町の高校では定員が減少する中で、何とか200人から210人のところで維持をできております。

そして、2017年は初めて公営塾に入ってきた子たちが高校3年生になり結果が求められる年だったんですけれども、国公立に5名、私立に14名、公務員に12名合格という結果を出すことができました。これは、昨年は国公立大学合格者が1名だけだったことから比べると前年比500%であり、私立に進む生徒も倍増、公務員は3倍に増えました。

課題まみれだからこそ、学びのフロンティアへ

現在、塾には70名ほどの生徒が在籍しております。職員は地域おこし協力隊という総務省の制度を使いまして、3名が勤務してくださっています。うち一人が外国人の先生です。

町営塾ですので授業料が安いというのはもちろんですが、一番の強みは町でやる塾だからこそ、学校教育現場でも私塾でも手を出しづらい領域に踏み込めるところにあります。

例えば去年、町がリーサスワークショップを開き(ビッグデータを扱う人材育成を狙って内閣府が主導)、地元社会人・大学生インターン・能登高校の3チームが内閣府のコンテストに応募して、全国大会までいくことができました。高校生はこのような取り組みに参加することによって、推薦入試の引き出しになる経験を得ることができました。「私はこのワークショップに参加したことをきっかけに、経済に興味を持ちました。だから私はあなたの大学の経済学部に応募したんです」と言えるようになります。町のサポートを生徒の進路実現に繋げる、これは、2020年から志望理由書の全面導入が始まる中で、非常に重要な戦い方になると思います。

他にも、外国人の先生の助けを借りながら、留学生(大学生)を招いて、自分たちの街を自分たちで深く知り、それを英語で発信していこうという人材教育もやっております。

もちろん基礎学力を上げなければならないというのは前提になってくるとは思います。ですが、特に今後2020年からの新大学入試に向かって、生徒が何のためにその大学に行きたいのか、何をして生きていきたいのかを決めていく助けとなる経験を、能登という地域を切り口にした、「能登学」として提供しております。

これは、過疎をはじめとして課題が山積みになっている地域だからこその強みでもあります。

課題を野積みにしたままにするのではなく、これらをいかに教材に変えるか

これができれば、我々「課題先進地域」は、学びのフロンティアになります。

 

“田舎だから”の問題を打ち消すStudyplus

ここからは、今の町営塾を運営していくにあたっての課題と、そこに対してStudyplusをどうマッチングさせているかを話していきたいと思います。

我々は、町営塾運営に対する課題認識としてこの三つを持っております。

まず物理的アクセスですね。能登町は2005年に平成の大合併によって生まれた非常に広大な町で、端から端まで車で50分ほどかかります。しかも午後8時には交通機関はなくなってしまいます。塾に通うためには帰りのお迎えが必要不可欠です。

このような通塾に伴う家庭への負担から、塾を週の半分以上使う人は受験が差し迫った高3の子たちが大半となっています。僕はもともと塾を経営する時、生徒が毎日塾にくることを前提に考えておりましたので、そもそもそこをシフトチェンジしなくてはいけなくなりました。つまり、週1日や2日しか塾にこない生徒をいかに低学年の間から鍛えていくのかを考えなくてはいけなくなりました。

課題の二つ目にあるのが、先生と生徒のコミュニケーション不足です。先生は複数の学年の授業を持っているため、せっかく塾に来てもらっても忙しくてゆっくりと対応できないことがあります。生徒が塾に居られる僅かな時間の中で、先生に構ってもらえないと、生徒はストレスを感じてしまいます。

これら二つの問題を解決する仕組みがStudyplusのタイムラインという、先生と生徒がタイムライン上でコミュニケーションを取れる機能です。直接対応ができない間の勉強に対して、Facebook感覚で「いいね」や「コメント」をすることができます。先生も生徒も普段SNSを使い慣れているので、特に難しい技術を覚える必要がなく、お互いにコミュニケーションを取ることができます。

課題の三つ目は、指導ノウハウの共有の問題です。指導ノウハウとはPDCAだと思っています。中長期的な受験への戦略をどう立てるのか、立てた目標をどう実行するのか、どうチェックしていくのか、そしてまたどう実行していくのか、です。

私たちは地域起こし協力隊の先生に来ていただいているので、今いる先生が長期的にいてくれる保証はありませんし、その道のプロを雇っている訳ではないので、教えられる教科に偏りが出てくることも予想されます。

また、これも地方あるあるとして、公立の自称進学校では「量をこなせば成績が上がる」という神話が信じられていて、すごい量の課題が生徒に与えられます(能登高校のことではないですよ)。そんな中で、与えられた課題をこなす事務作業が目的になってしまって、自分で勉強する時間も取れず、結局受験に向けて何を、どう勉強していけばいいか考える訓練を受けずに時間だけが進んでしまっているのです。

だからこそ、「それぞれの生徒が、何を目標としていつまでに何を実行していくのか」というPDCAを全ての先生ができるよう、共有していくのが必要不可欠です。このPDCAの共有を可能にしてくれるのが、Studyplus for school限定のカルテという機能になります。

※カルテ機能の画面イメージ

例えば、スタッフ二人で生徒の面談をして、どのように面談をすればいいのか、どのように目標を立てればいいのかということを一緒にやります。それを形として残していくことで、ノウハウを伝授することもできますし、スタッフが入れ替わっていく中でも、生徒の情報や指導ノウハウをスタッフ間で引き継いでいくことができます。

 

生徒が成功体験を得る機会を創出する

私たちは、生徒の不安を少しでも取り除いてあげたいです。そして、この生徒の不安は「何をやるのか、どのくらいのスピード感でやるのか、どれくらいの強度(完璧度)を目指すのか」の三つを具体的にしてあげることで、少しでも取り除いてあげられるのではないかと思っております。Studyplusでは、学習量の管理のページで、自分の目標を自由にカスタマイズすることができます。

※学習量管理ページの画面イメージ

そうしますと自らの目標を可視化することによって、先生と協働して、成功体験を積み上げやすくなっていきます。その結果、生徒の自己肯定感が強まったり、口コミが生まれたり、塾全体のサービス向上につながります。このように、私たちにとってStudyplusは、先生と協働して生徒が成功体験を創り出す機会を生み出すツールです。

最後に、我々は教育をフックとした、能登町への移住・定住の増加を考えております。

子育て世代のお母さんたちが、子育て環境として健康的な水や空気をケアするのと同じように、人としての教育環境も大事なファクターであっていいと思います。人としてどう成長するかは、毎日口にする水、食べ物、空気と同じように、毎日与えられる教育というものに大きな影響を受けるのではないしょうか。

だからこそ、今後も能登町ならではの人づくりをブラッシュアップしていき、全国から子育て世代が集まってくる環境作りを、教育機関、行政機関と連携して進めていきたいと考えています。

 


 

Studyplus for School を無料で使ってみたい方はこちらから。

 


まちなか鳳雛塾

https://hosujuku.wixsite.com/machinaka

ただいま能登町では、この大変刺激的でタフなチャレンジに参加するクルーを全国募集しております。なんといっても、行政・学校・民間と連携した教育魅力化を進める経験は、今後教育・教育行政・地域活性化に関わる大学生・社会人のキャリアパスとして最高にハマると思うんです。インターン(1月〜1年)・役場職員(1年〜3年)の募集は下記ページからとなっております。

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