イベントレポート

地域的なハンデを超えて、生徒の学習をサポートするために 【Award受賞校 まちなか鳳雛塾】

今回Studyplus for School Awardにて、『New Initiative School賞』を受賞したまちなか鳳雛塾様のプレゼンです。

過疎が進む、石川県能登町にある塾「まちなか鳳雛塾」。そもそも生徒が塾に頻繁に通うことができないという物理的アクセスの問題や、講師が3年で必ず入れ替わってしまう中での指導ノウハウの共有の問題など、様々な課題がある中でも、生徒の学習状況をしっかりと把握し、コミュニケーションを確実にとる方法とは?

 

【登壇内容・登壇者情報】

2017年11月22日 @Studyplus for School Award 2017

「New Initiative School賞 受賞校プレゼン」

奥野公美(まちなか鳳雛塾講師

 

本編


まちなか鳳雛塾の奥野と言います。今日はよろしくお願いします。

私たちの塾は、石川県の能登町にあります。能登町というのは、金沢から電車など通っていませんし、唯一の公共交通機関であるバスも、金沢市からの直行便は最近1日二本から一本に減ってしまったという、なかなか人が訪れないようなところです。

 

いうまでもなく、能登町は過疎っています。こういった過疎地の教育現場で待ち受けているものは、学校の統廃合です。実際、能登町に一つある高校は、能登高校という水産高校と農業高校が統廃合されてできた学校になります。

 

能登の文化を失わないために高校存続に挑む

私たちは、この能登高校がなくなってしまうことは、一度手放してしまったら二度と取り戻すことのできない文化を失ってしまうことだと考えて、公営塾として高校存続に取り組んでいます。

 

能登高校は、統廃合した両学校の背景から、農業と水産を横断して学べる国内唯一の学校として、全国から人を集められる素質が非常に高いです。そして、2011年には能登の里山里海が世界農業遺産に認定されました。現在先進国で認定されているのは能登の他に佐渡島だけですので、世界的に見ても価値の高い文化が能登にはあります。

能登高校がなくなってしまえば、そういった重要な歴史のある文化を引き継いでいく人を育てていくことができず、失われていってしまいますので、「ただ町の高校がなくなりました」という単純な話には止まらないのです。

 

学校内に塾を設置し、放課後の学習サポート

まず、公営塾としてまちなか鳳雛塾が誕生した背景を説明します。

 

高校存続に向けて、まず取り組んだのが部活強化でした。実際、能登高校はソフトテニス部とアーチェリー部がインターハイに進んでおります。しかし、部活強化は非常に限定的な生徒募集になってしまい、結果として思ったほど人は集まりませんでした。

そこで、周りの進学校がどのようなことをやっているのか考えてみると、やはり目先の進路のサポートへの取り組みをしっかりしているんですね。特に能登地方では、国公立大学に進むことが最大の目標という意識が根強く残っているのだということに気がつき、まずは進学サポートがしっかり体制としてできているのが能登高校なんだというのをアピールしていく方向性に切り替えました。

 

そういった背景から、平成26年に県内唯一の公営塾「鳳雛塾」を設置いたしました。これが、今私がいるまちなか鳳雛塾なんですけれども、学校内で放課後の学習サポートをしています。

 

学校内の塾から町の中の塾、「まちなか鳳雛塾」へ

学校内に塾を設置した結果、対外模試の成績は上がりましたし、学校内の雰囲気もよくなり、学習意欲も非常に高まりました。最初は能登高校への進学者数も順調に伸びて行きました。しかし、この図のようにまた落ちていってしまいました。

この結果から、生徒募集における波及効果に限界があるのではないかということに気がつきました。校内塾であったために、能登高校にすでに通う人だけへの限定的なアプローチになってしまっていたのです。

 

そこで、そもそも能登高校に通うかというところで迷っている、中学生とその親にもアプローチをしていくことを決めました。そのために中学、高校が連携して指導することのメリットをしっかり伝えたり、学習塾がない町において、生徒たちが夕方18時以降も受験勉強ができたり、質問対応をしてもらえる環境を作っていく必要があると判断しました。

その結果、それまで校内にあった鳳雛塾を、使われていない旧公民館を改装して、町の中の鳳雛塾を作りました。これが「まちなか鳳雛塾」です。

 

大学合格者が例年の倍近く増加

まちなか鳳雛塾を作ってから、町内の中学校からの能登高校への進学率が63%まで上がりました。ひどい年は30%をきっていましたし、60%を超えたのは能登高校が出来て初めてでした。

そして、まちなか鳳雛塾に初めて入ってきた一期生が高校三年生になったのが今年でした。結果がでる一年目として非常にプレッシャーのかかる年だったんですけれども、国公立大学5名、私立大学14名、公務員が12名ということで、例年に比べて大学の合格者数が倍近く増えました。

 

ここからは、我々がもつ課題感と、それらをStudyplus for Schoolを使ってどのように解決しているのかについて説明していきます。

「物理的アクセス」、「コミュニケーション不足」、「指導ノウハウの共有」ですね。

 

直接話せなくても「先生に構ってもらえているんだ」という安心感を生み出す

まず「物理的アクセス」です。能登町は、4つの町が合併してできた非常に大きな町でして、中心にあるまちなか鳳雛塾へは各地域から車で20分ほどかかってしまいます。

 

田舎で終バスも19時に終わってしまいますので、学校から塾に来るときはいいですが、保護者の方が迎えにきてくれないと、塾に来られないという環境にあるわけです。

通塾に伴う家庭の負担が非常に大きくなりますので、受験が迫っていない高校1・2年生で、毎日のように塾に通えている子はほとんどいません。

 

次に「生徒とのコミュニケーション不足」ですね。

ただでさえ「物理的アクセスの問題」から塾に通える頻度が少ない中で、塾にきた時に先生とのコミュニケーションが少ないと、「私構ってもらえていないんじゃないか」と思ってしまう生徒が出てくることが非常に大きな問題としてあります。講師は3人しかいませんので、「せっかく来たのに先生は授業している」ということも多いわけです。

この問題を解決してくれるのが、Studyplus for School のタイムライン機能だと思っています。この機能を利用して、勉強した内容に対して我々講師がコメントすることによって、生徒たちは「あ、構ってもらえてるんだ」という意識ができているなと思っています。

 

講師が入れ替わる中で、指導ノウハウを共有できる

最後に「指導ノウハウの共有」ですね。

我々は、地域おこし協力隊という制度を使って講師をまかなっているんですけれども、この制度が3年間の期限付きなんですね。ですので、指導ノウハウをどんどん次の講師たちに続けて共有していかないといけないという課題があります。

 

それに対しては、カルテ機能を使わせてもらっています。生徒ごとに、「この子はこんな子だから、こういった指導をして下さいね」ということを記録することで、次の講師たちに指導の方法を共有することができます。

さらにプランニング機能です。生徒ごとにどの本を、どれくらいの量、いつまでにやるかというのを入力できるのですが、これを生徒ごとにカスタマイズしていくことによって、生徒たちの自己肯定感の上昇に繋がっています。

例えば、模試が終わった後に生徒と面談をして、「この問題はできた」「この問題はやっぱり苦手だな」ということを聞いて、今後の目標を一緒に決めます。それをStudyplus for Schoolのプランニングに入力して、目標を記録しています。

「いいねが付くと、あ、見てもらえとるんや、と思う」

実際Studyplusを使ってみてどうですか?と生徒に聞いてみたところ、こういった感想をもらいました。

「いいねが付くと、あ、見てもらえとるんやと思う」というのを聞いて、「あー、やっぱりスタディプラスを使っといてよかったな」と私たちも思いました。

 

Studyplus for Schoolは、「協働成功体験を作り出すツール」

最後に私たちにとってスタディプラスとは何なのかと言いますと、協働成功体験を作り出すツールという風に認識しております。「自己肯定感を高めてサービスを向上していこう」、「毎日通えない生徒でも面倒を見ていこう」としている塾ですので、こういったツールがあることによって、塾をうまく回せていけているのだと感じています。

地域おこし協力隊という制度を使っている以上、どんどん次の世代の講師に指導ノウハウを共有していかないといけないので、そういったスタッフ育成にもつなげることができるというのがStudyplus for Schoolの強みだと思います。

まだできて1年ほどしか経っていない塾なんですけれども、これからもどんどん戦いは続けていこうと思っております。これからもよろしくお願いいたします。ありがとうございました。

 


【受賞校説明】

New Initiative School賞を受賞したまちなか鳳雛塾

New Initiative School賞とは…

ICTを活用し、経済格差や地域格差などの格差解消に取り組む塾に贈られます。

地域格差によるハンデがありながら、Studyplus for Schoolを活用してその課題に立ち向かっている。